こんにちは、管理人の胡蝶です
美しい花を咲かせる胡蝶蘭は、贈り物としてだけでなく、自宅で育てる観葉植物としても人気があります。しかし、大切に育てているはずなのに「なかなか花が咲かない」「いつ花芽が出てくるのかわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に初心者の方にとって、葉や根の状態を見極めながら適切な管理を行うことは難しいと感じるかもしれません。
実は、胡蝶蘭が花を咲かせるためには、特定の季節や気温の条件が整う必要があります。自然界での胡蝶蘭の花芽が出る時期は、主に秋から冬にかけての気温が低下するタイミングです。
この時期に適切な温度管理や水やりを行うことで、株は花芽分化と呼ばれる準備段階に入ります。逆に言えば、このサインを見逃してしまうと、翌年の春になっても花が咲かないという事態になりかねません。
今回の記事では、胡蝶蘭の花芽が出る時期を中心に、気温や日当たりといった環境条件から、花芽と根の具体的な見分け方、そして花を咲かせるための肥料や水やりのコツまでを網羅的に解説します。
また、花が終わった後の二度咲きのさせ方や、どうしても咲かない場合の低温処理といったテクニックについても触れていきます。ぜひ最後まで読み進めて、ご自宅の胡蝶蘭を美しく咲かせるためのヒントを見つけてください。
◆このサイトでわかる事◆
- 胡蝶蘭の花芽が出る具体的な季節と気温の目安
- 花芽形成に必要な株の状態と葉の枚数
- 間違えやすい花芽と根の正しい見分け方のポイント
- 休眠期における適切な水やりと肥料の与え方
- 室内での置き場所や日当たり管理の重要性
- 花茎が伸びてきた際の支柱立ての手順とコツ
- 花が終わった後に二度咲きさせるための剪定方法
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胡蝶蘭の花芽が出る時期と発生に必要な条件
◆この章のポイント◆
- 条件となる18度前後の気温
- 株の充実を示す葉の枚数
- 花芽と根の正しい見分け方
- 休眠期における水やりの頻度
- 肥料を与えるタイミング
条件となる18度前後の気温
胡蝶蘭を育てている多くの方が最も気にかけるのが、いつ花芽が出てくるのかという点でしょう。一般的に日本国内で育てられている胡蝶蘭の花芽が出る時期は、秋の終わりから冬にかけての気温が下がり始める頃です。
具体的には10月下旬から11月、あるいは12月頃にかけて、株の根元から小さな芽が顔を出します。この現象を引き起こす最大の要因は「気温」にあります。
胡蝶蘭は熱帯原産の植物ですが、常に高温の環境に置けばよいというわけではありません。花芽を形成するためには「花芽分化」というプロセスを経る必要があり、これにはある程度の低温期間が必要です。
具体的には、平均気温が18度前後の状態が約1ヶ月ほど続くことで、株が「そろそろ子孫を残すために花を咲かせよう」と認識し、花芽を作り始めます。日本の気候で言えば、秋が深まり夜間の冷え込みを感じるようになる時期がまさにこれに当たります。
リビングなどで常に暖房が効いている環境では、胡蝶蘭が季節の変化を感じ取れず、いつまで経っても花芽が出ないことがあります。
もしご自宅の胡蝶蘭が健康そうに見えるのに花を咲かせない場合は、置き場所の温度をチェックしてみてください。
夜間の温度が常に25度以上あるような暖かい場所では、株は成長を続けるだけで生殖成長(花を咲かせること)に移行しません。秋の夜長には、少し肌寒さを感じる程度の玄関や窓辺(ただし極端に寒すぎない場所)に移動させ、18度から20度くらいの環境を体験させることが重要です。
一方で、10度を下回るような寒さは胡蝶蘭にとって危険です。18度前後というのはあくまで「花芽形成のスイッチを入れるための温度」であり、株を弱らせるための低温ではありません。
特に冬場の窓際は夜間に急激に冷え込むことがあるため、温度計を設置して最低気温を管理することをお勧めします。15度から18度の範囲を保つことができれば、理想的な胡蝶蘭の花芽が出る時期を迎えることができるでしょう。
| 温度管理のポイント ・花芽形成には18℃~20℃の期間が1ヶ月程度必要 ・常に25℃以上の場所では花芽ができにくい ・10℃以下の低温は株を痛める原因になる ・秋の夜温を感じさせることが開花の鍵 |
株の充実を示す葉の枚数
気温の条件が整っていても、胡蝶蘭自体の体力が不足していれば花芽は出てきません。植物にとって花を咲かせることは、非常に大きなエネルギーを消費する一大イベントです。
そのため、株自身が「十分に成長した」と判断できる状態でないと、花芽を作る指令が出ないのです。その健康状態や体力のバロメーターとなるのが「葉の枚数」と「艶」です。
一般的に、花芽が出るために必要な葉の枚数は、大人の株で左右合わせて4枚以上と言われています。理想的には6枚以上の青々とした葉がついている状態が望ましいです。
葉は光合成を行い、花を咲かせるための養分を作り出す工場のような役割を果たしています。葉の数が少なかったり、葉がシワシワで元気がなかったりすると、十分な養分を蓄えることができず、胡蝶蘭の花芽が出る時期になっても芽が出てこない可能性が高まります。
もし現在の葉が3枚以下であったり、全体的に小さかったりする場合は、今年は花を咲かせることよりも、株を育てることに専念したほうが良いかもしれません。
無理に花を咲かせようとすると、株が消耗してしまい、最悪の場合は枯れてしまうこともあります。春から夏にかけての成長期に、適切な水やりと肥料を与えることで新しい葉を展開させ、次のシーズンに向けて体力を温存させましょう。
葉に艶があり、厚みがあって硬い感触がある場合は、株の中に十分なエネルギーが蓄えられている証拠です。
また、一番下の古い葉が黄色くなって落ちることがありますが、これは生理現象による生え変わりの場合が多いので、過度に心配する必要はありません。しかし、中心部の新しい葉や中間の葉が変色したり落ちたりする場合は、根腐れや病気のサインである可能性があります。
花芽を期待する前に、まずは葉の状態をよく観察し、株が健康であるかどうかを確認してください。健康な葉がしっかりと茂っている株であれば、条件が整い次第、立派な花芽を伸ばしてくれるはずです。
- 花芽が出る目安は葉が4枚以上あること
- 葉は厚みがあり、艶がある状態が理想的
- 枚数が少ない場合は無理に咲かせず育成を優先する
花芽と根の正しい見分け方
秋から冬にかけて、株の根元から何かがニョキッと顔を出したとき、それが待望の花芽なのか、それともただの根なのか、見分けるのに苦労した経験はありませんか?
胡蝶蘭の花芽が出る時期には、新しい根も同時に動き出すことが多く、初心者の方にとっては非常に紛らわしいものです。しかし、よく観察すると両者には明確な違いがあります。
まず注目すべきは「先端の形」です。花芽の先端は、少し尖ったような形状をしており、よく見ると筆先のように層が重なっているように見えます。これは将来つぼみになる部分が格納されているためです。
一方、根の先端は丸みを帯びており、つるんとした質感を持っています。指で触れるのは避けたほうが良いですが、見た目の印象として、鋭さがあるのが花芽、丸っこいのが根と覚えると良いでしょう。
次に「伸びる方向」も判断材料になります。花芽は光を求めて上へ上へと伸びようとする性質があります。最初は横向きに出ることもありますが、徐々に上に向かってカーブを描きながら成長していきます。
対して根は、水分や着生する場所を求めて下向きや横向き、あるいは鉢の外へと自由奔放に伸びていきます。必ずしも上に向くとは限りませんが、垂直方向に立ち上がってくるような動きが見られれば花芽の可能性が高いと言えます。
発生する場所にも特徴があり、花芽は葉の付け根(葉腋)のすぐ下、葉と茎の間から顔を出すことがほとんどです。
根は、葉の付け根以外の茎の途中から唐突に出てくることもあります。「葉の下から出てきて、先端が尖っていて、上を向いている」という3つの条件が揃えば、それはほぼ間違いなく花芽です。
色は品種によって異なりますが、花芽は全体的に緑色をしているものが多く、根は先端が赤茶色や緑色で、伸びた部分は白っぽい銀色をしていることが多いです。毎日の観察を通じて、この微妙な違いを見極められるようになると、胡蝶蘭を育てる楽しみがさらに増すことでしょう。
| 花芽と根の特徴比較 ・花芽:先端が尖っている、上に向かって伸びる、葉の付け根から出る、節目がある ・根:先端が丸い、下や横に伸びる、茎のどこからでも出る、表面がつるっとしている |
休眠期における水やりの頻度
胡蝶蘭の花芽が出る時期である晩秋から冬にかけては、胡蝶蘭にとっての「休眠期」に近い状態、あるいは成長が緩やかになる時期に差し掛かります。
この時期の水やりは、春や夏の成長期とは大きく変える必要があります。多くの初心者がこの時期に水をやりすぎて根腐れを起こし、せっかくの花芽を枯らしてしまう失敗を経験します。
気温が下がると、植物が水を吸い上げる力は弱まります。そのため、植え込み材(水苔やバークチップ)が完全に乾いてから数日待って水を与える程度で十分です。
具体的には、10日に1回から2週間に1回程度になることも珍しくありません。指で水苔の表面を触ってみて、カサカサに乾いていることを確認し、さらに鉢を持ち上げて軽くなっているかをチェックしてから水やりを行いましょう。
水を与える際の温度も重要です。水道水をそのまま使うと、冬場は水温が低すぎて根にショックを与えてしまいます。
汲み置きをして室温(15度~20度くらい)に戻した水、またはぬるま湯を使うのが理想的です。また、水やりのタイミングは、気温が上がる晴れた日の午前中に行うのがベストです。夕方以降に水やりをすると、夜間の冷え込みで鉢の中の水分が冷え、根を痛める原因になります。
冬場の乾燥対策として、葉水(霧吹きで葉に水をかけること)は有効ですが、葉の間に水が溜まったまま夜を迎えないように注意してください。
葉の付け根に水が溜まると、そこから軟腐病などの病気が発生しやすくなります。もし水が溜まってしまった場合は、ティッシュなどで優しく吸い取っておきましょう。
花芽が出ている時期は、株がエネルギーを使っている時期でもありますが、根からの水分吸収は穏やかです。「乾かし気味に管理する」という基本を守り、過保護になりすぎないことが、美しい花を咲かせるための秘訣です。
- 冬場は植え込み材が乾いてから数日あけて水やりをする
- 水温は室温に近いぬるま湯を使用する
- 水やりは晴れた日の午前中に行い、夜間の過湿を避ける
肥料を与えるタイミング
「花を咲かせるためには肥料が必要だ」と考えて、花芽が見え始めた頃に慌てて肥料を与える方がいらっしゃいますが、実はこれは逆効果になることがあります。胡蝶蘭の花芽が出る時期に向けた肥料の管理には、適切なタイミングと切り替えが必要です。
基本的には、肥料は春から夏(5月~9月頃)の成長期に与えるものです。この時期に十分な栄養を蓄えさせることで、株が充実し、秋以降の花芽分化につながります。
逆に、気温が下がり始めて成長が鈍化する10月以降や、実際に花芽が出てきている時期には、肥料を与えるのをストップするのが一般的です。休眠期に肥料を与えすぎると、根が栄養分を吸収しきれずに「肥料焼け」を起こし、根を痛めてしまうリスクがあるためです。
特に窒素分(N)の多い肥料を秋以降も与え続けると、株は「まだ葉や茎を伸ばす時期だ」と勘違いをしてしまい、花芽をつけるモードに切り替わらないことがあります。
花芽を促進させたい場合は、夏の終わり頃(8月下旬~9月)に、リン酸(P)やカリウム(K)の成分が多めの洋ラン用肥料に切り替え、株を硬く引き締めるような管理を行うと効果的です。
花芽が伸びてつぼみが膨らみ始めたら、肥料は一切不要です。水やりのみで管理してください。
ただし、株に元気がなくどうしても栄養補給をしたい場合は、規定倍率よりもさらに薄めた活力剤(肥料成分を含まないもの)を水やりの代わりに与える程度にとどめましょう。
肥料はあくまで成長を助けるサプリメントのようなものであり、花を咲かせる直接のスイッチではありません。胡蝶蘭の花芽が出る時期においては、「肥料を切ること」もまた、重要な管理の一つであることを覚えておきましょう。
- 肥料は春から夏の成長期にしっかり与える
- 気温が下がる秋以降は肥料をストップする
- 花芽が出ている時期に濃い肥料を与えると根を痛める原因になる
胡蝶蘭の花芽が出る時期に合わせた管理方法
◆この章のポイント◆
- 日当たりとレースカーテンの活用
- 花茎が伸びた際の支柱立て
- 花が終わった後の二度咲き
- 咲かない場合の低温処理
- 来年の胡蝶蘭の花芽が出る時期に備えて
日当たりとレースカーテンの活用
胡蝶蘭の花芽が出る時期である冬場は、日照時間が短くなるため、いかに効率よく日光を当てるかが重要になります。
胡蝶蘭はもともとジャングルの木漏れ日の下で育つ植物なので、直射日光は苦手ですが、光が全く入らない暗い部屋では花芽が育ちません。適切な光量を確保することが、美しく開花させるための鍵となります。
冬場の管理場所として最適なのは、日当たりの良い南向きまたは東向きの窓辺です。ただし、直射日光を当てると「葉焼け」を起こし、葉が白く変色したり黒く焦げたりしてしまいます。
これを防ぐために必須なアイテムが「レースのカーテン」です。レースカーテン越しに柔らかくなった光を当てることで、葉焼けのリスクを回避しつつ、光合成に必要な光量を確保することができます。
特に花芽が伸びてきている時期は、光の方向に向かって茎が曲がりやすくなります。鉢の向きを固定しておくと、花茎が窓の方へ極端に傾いて伸びてしまい、バランスが悪くなることがあります。
これを防ぐためには、週に一度程度、鉢の向きを180度回転させて、まんべんなく光が当たるように調整すると良いでしょう。ただし、つぼみが大きく膨らんでからは、向きを変えるとつぼみの向きがねじれてしまうことがあるので、開花直前は向きを変えない方が無難です。
冬の窓辺は夜間に急激に冷え込むため、日が落ちたら部屋の中央や暖かい場所に移動させるか、厚手のカーテンを閉めて冷気を遮断する工夫が必要です。
また、暖房器具の温風が直接当たる場所も厳禁です。温風による極度の乾燥は、つぼみを枯らしてしまう原因になります。
レースカーテン越しの優しい光と、適切な温度・湿度管理を組み合わせることで、胡蝶蘭はストレスなく花芽を伸ばすことができます。日中は明るい窓辺で光合成を促し、夜は冷気から守るというサイクルを心がけましょう。
| 光線管理のチェックリスト ・直射日光は避け、必ずレースカーテン越しにする ・日照時間が短い冬場は可能な限り明るい場所に置く ・花茎の曲がりを防ぐために定期的に鉢を回転させる(つぼみが小さい時期) ・夜間の窓辺の冷気に注意し、置き場所を工夫する |
花茎が伸びた際の支柱立て
順調に胡蝶蘭の花芽が出る時期を経て、花芽(花茎)が長く伸びてくると、そのままでは重みで垂れ下がってしまったり、不格好な方向に伸びてしまったりすることがあります。
贈答用の胡蝶蘭のように美しくアーチを描いて咲かせるためには、「支柱立て(誘引)」という作業が必要になります。これは少しコツがいりますが、家庭でも挑戦することができます。
支柱を立てるタイミングは、花茎がある程度伸びてきて(20cm~30cm程度)、まだ茎に柔軟性がある時期が適しています。
つぼみが大きくなりすぎたり、茎が硬くなってから無理に曲げようとすると、ポキッと折れてしまう悲劇が起こりかねないので注意が必要です。園芸店などで販売されている洋ラン用の支柱を用意し、花茎の根元近くに慎重に挿し込みます。この際、根を傷つけないように気をつけてください。
次に、ビニールタイや専用のクリップを使って、花茎を支柱に固定していきます。下の方から順番に、少し余裕を持たせて留めていくのがポイントです。
無理に支柱のカーブに合わせようとせず、茎の自然な成長に合わせて優しくガイドするようなイメージで行います。もし茎が硬くて曲がらない場合は、無理をせずその角度で固定するか、直立させるスタイルで楽しみましょう。
支柱立てに失敗して花茎を折ってしまっても、完全に切れていなければセロハンテープなどで補強することで繋がる場合もありますが、慎重に行うに越したことはありません。
自然な姿で咲かせたい場合は、あえて支柱を立てずに、枝垂れるように咲かせるのも一つの楽しみ方です。原種の胡蝶蘭などは下向きに咲くのが自然な姿でもあります。
インテリアや置き場所に合わせて、支柱を立てるかどうかを決めるのも良いでしょう。支柱立ては、胡蝶蘭の美しさを引き立てるための仕上げの作業と言えます。
- 花茎が20〜30cm程度伸びた頃が支柱立ての適期
- 根を傷つけないように慎重に支柱を挿す
- 無理に曲げず、茎の柔軟性を確認しながら固定する
花が終わった後の二度咲き
胡蝶蘭の大きな魅力の一つに、一度花が終わっても、条件次第でもう一度花を咲かせることができる「二度咲き」という性質があります。通常の花芽が出る時期とは少しずれますが、春先に花が終わった後、適切な剪定を行うことで、数ヶ月後にもう一度花を楽しむことが可能です。
二度咲きをさせるためのポイントは、花茎を切る位置にあります。花が全て咲き終わる頃、あるいは最後の1~2輪が残っている状態で、花茎の下から数えて2~3節目(節のある部分)の上あたりで茎をカットします。
節には「節芽」と呼ばれる予備の芽が隠れており、茎を切ることでその芽が刺激され、新しい花芽として伸びてくることがあるのです。
この二度咲きは、株に残っている体力を使って行われます。そのため、葉の枚数が少なかったり、根腐れしていたりと株が弱っている場合にはお勧めできません。
無理に二度咲きさせると、株がエネルギーを使い果たしてしまい、翌年以降の花芽が出る時期になっても花が咲かなくなったり、最悪の場合は枯れてしまったりすることがあります。
株を長持ちさせたい場合や、来年も立派な花を咲かせたい場合は、二度咲きを狙わずに根元近くから花茎を切り取り、株を休ませてあげるのが賢明な選択です。
二度咲きした花は、一番花に比べると花のサイズが小さくなったり、輪数が少なくなったりするのが一般的です。
それでも、家庭で育てた胡蝶蘭が再び咲いてくれる喜びはひとしおです。株の状態をよく観察し、体力が十分に残っていると判断できた場合にのみ、この二度咲きにチャレンジしてみてください。
カットした後は、通常通り明るい場所に置き、適切な水やりと薄めの肥料を与えて成長をサポートしましょう。
| 花茎の切り方と目的 ・二度咲きさせたい場合:下から2~3節目の上でカットする。数ヶ月後に脇芽が出て開花する可能性がある。 ・株を休ませたい場合:根元から3~5cm程度の場所でカットする。翌年の開花に向けた体力温存になる。 |
咲かない場合の低温処理
「葉も青々として元気なのに、数年経っても全く花芽が出ない」という悩みを抱えている場合、株が快適すぎる環境に慣れてしまっている可能性があります。
胡蝶蘭の花芽が出る時期には18度前後の低温が必要だと前述しましたが、これを意図的に作り出すテクニックを「低温処理」と呼びます。プロの生産者も出荷時期を調整するために行っている方法ですが、家庭でも応用することができます。
低温処理のやり方はシンプルですが、温度管理には注意が必要です。秋になり外気温が下がってきたら、あえてしばらくの間、最低気温が15度~18度になるような場所に株を置きます。
具体的には、10月~11月頃に、夜間だけ暖房のない部屋や玄関、あるいは軒下(霜が降りない場所に限る)などに移動させます。この「少し寒い」と感じる期間を3週間から1ヶ月ほど継続させることで、株に花芽分化のスイッチを強制的に入れます。
重要なのは、日中は暖かく(25度程度)、夜間は涼しい(18度程度)という「メリハリ」をつけることです。一日中寒いままでは株が弱ってしまいますし、一日中暖かいままでも花芽はできません。この温度差が、胡蝶蘭の生殖本能を刺激します。
低温処理を行う際は、水やりを控えめにすることを忘れないでください。低温状態で水を与えすぎると、根腐れのリスクが格段に上がります。
無事に花芽が顔を出したら、低温処理は終了です。その後は極端な寒さを避け、通常通り20度以上の暖かいリビングなどで管理してあげると、花芽は順調に成長していきます。
もしご自宅の胡蝶蘭が「咲かずの株」になっているなら、次の胡蝶蘭の花芽が出る時期(秋)に、この低温処理を試してみてはいかがでしょうか。
- 元気なのに咲かない株には意図的な低温体験が有効
- 18度前後の環境を夜間に作り、1ヶ月ほど継続する
- 花芽が確認できたら暖かい場所に戻して成長を促す
来年の胡蝶蘭の花芽が出る時期に備えて
胡蝶蘭の花芽が出る時期は、一朝一夕の管理で決まるものではありません。一年を通じたサイクルの積み重ねが、美しい開花という結果をもたらします。最後に、年間の管理の流れをおさらいしておきましょう。
春(4月~6月)は、花が終わった後の植え替え適期です。古い水苔を取り除き、新しい植え込み材でリフレッシュさせることで、根の環境を整えます。夏(7月~9月)は成長のピークです。
たっぷりの水と適切な肥料を与え、葉を一枚でも多く増やし、株を大きく育てることが翌年の開花への貯金となります。そして秋(10月~11月)は、これまで解説してきた通り、水やりを減らし、肥料を切り、低温に当てる「花芽分化」の準備期間です。
冬(12月~3月)は、出てきた花芽を大切に守り、開花を待つ時期です。乾燥や寒風から守り、温度管理を徹底します。
このように、胡蝶蘭と付き合うには季節ごとのメリハリが大切です。「花が咲いている時期だけ世話をする」のではなく、花がない時期にどれだけ愛情を注げるかが、次のシーズンの花付きを左右します。
胡蝶蘭は非常に寿命が長い植物です。適切な管理を続ければ、10年以上毎年花を咲かせることも珍しくありません。
もし今年花が咲かなくても、諦める必要はありません。焦らずに株の状態を整え、来年の胡蝶蘭の花芽が出る時期に向けて準備を進めましょう。
植物は正直ですので、かけた手間の分だけ、きっと美しい花で応えてくれるはずです。この記事を参考に、ぜひ胡蝶蘭との長い付き合いを楽しんでください。
本日のまとめ
- 胡蝶蘭の花芽が出る時期は主に秋から冬(10月〜12月頃)
- 花芽形成には18度前後の気温が約1ヶ月続くことが必要不可欠
- 常に25度以上の暖かい部屋では花芽分化が起きにくい
- 開花には株の体力が必要で葉が4枚以上あることが目安
- 花芽は先端が尖り上を向き、根は先端が丸く不規則に伸びる
- 花芽が出る時期は休眠期にあたるため水やりは控えめにする
- 秋以降や花芽が出ている時期の肥料は根を痛めるためストップする
- 冬場はレースカーテン越しの日光を当て葉焼けを防ぐ
- 花茎が20cm程度伸びたら支柱を立てて誘引すると美しく咲く
- 花後に茎を節の上で切ると二度咲きする可能性がある
- 株が弱っている場合は二度咲きさせずに根元から切り休ませる
- 咲かない株には意図的に寒さに当てる低温処理が有効
- 春の植え替えと夏の成長期の管理が翌年の花付きを決める
- 年間を通じた温度と水のメリハリ管理が長期栽培のコツ
- 焦らず株の状態を観察し適切な時期を待つことが大切
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胡蝶蘭のエボリューションの魅力と特徴を徹底解説する購入ガイド
胡蝶蘭の肥料の時期はいつ?成長期の5月から9月が最適な理由
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参考サイト
胡蝶蘭の花芽を出す方法|条件や時期、管理とコツを解説
胡蝶蘭の花芽をつけ、開花させる方法と条件
【胡蝶蘭の花芽】作り方と時期、根と見分け方は?
胡蝶蘭の花芽と新根とは?見分け方から管理方法まで詳しくご紹介!
胡蝶蘭の花芽に付け方や根との見分けかたを解説!


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